むかし、戸張村に弥太郎という、少し頭の弱い、だけど元気な男の子がいました。
その弥太郎、近くに住むじい様とばあ様の家に行っては、いつも美味しいものをご馳走になっていました。
ある日、弥太郎がいつものようにじい様の家で珍しいものをご馳走になりました。
「うまい、うまい、これは何だ」って聞いたら
「これはダンゴっていうものだ」と、ばあ様が答えました。
「そんじゃおらも家さけぇって、おっかあにダンゴ作ってもらうべ」
弥太郎はよほどダンゴのことが気に入ったのでしょう、ダンゴという名前を忘れてはいけないので、「ダンゴ、ダンゴ」と呪文のように唱えながら家に戻りました。
すると途中で目の前に大きな水たまりがあって、それを「どっこいしょ」と、またいだとたん、ダンゴっていうのを忘れて「どっこいしょ、どっこいしょ、どっこいしょ」って言いながら家に帰りました。
「おっかあ、おらな、じい様のとこでどっこいしょごちそうになってきた」というと、
「どっこいしょってなんだ」とおっかあが聞くと「なんだおっかあ、そんなこともわからねえのか」って、おっかあの頭をひっぱたきました。そしたら、みるみるうちにおっかあの頭にいかい(大きい)コブができて「カー、イテテ、この野郎、ほら見ろ、ダンゴのようなコブができたじゃねぇか」「おっかあ、おっかあ、そのダンゴのこったよ」